粒沢らぼ。

当ブログでは現役生命科学系の研究者が、気になった論文を紹介したり、考えていることを共有したりしています。可能な限り意識を”低く”がモットー。たまに経済ネタとかも。
書いてる人:粒沢ツナ彦。本業は某バイオベンチャーで研究者をやっています。本名ではないです。
博士号(生命科学系)。時々演劇の脚本家、コント作家、YouTube動画編集者。アンチ竹中エバンジェリスト、ニワカ竹中ヘイゾロジスト。
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タグ:トランプ

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前回、Jennifer Lawrenceさんというトランプサポーターのツイッターでの発言に、勝手に認証マークがつけられていたという話題を紹介しました。

 

それで、そのツイートでLawrenceさんが言っているのは、「トランプ大統領!私たちはあなたのために”Calvary”をもたらします!」

ということなんだけど、Calvaryって何だという話で。

 

Calvaryという言葉自体はキリスト教でキリストが磔にされた「キリストの受難」のことを表すそうなんですね。

で、それとよく似た単語でCavalryというのがありまして。

Cavalryというのは、馬に乗った兵士の群ということで、要するに「騎兵隊」という意味らしいんです。

非常によく似た単語ですが、意味が全然違うわけですね。

 

で、Eric Swalwellら民主党を中心とする反トランプ陣営は、トランプサポーターが暴動を起こす計画を立てていたということにしたいので、「このJennifer Lawrenceは『国会議事堂に騎兵隊とともに駆けつける』と言っている!つまり武装してクーデターを起こすということだ!」と主張しているわけなんですね。

 

一方でこのツイートをしたLawrenceさんはこの解釈を真っ向から否定。

「私は馬なんか乗らないし軍隊にも所属していないから『騎兵隊とともに駆けつける』なんていうわけないでしょ。私がCalvaryと言ったのは勘違いでもタイプミスでもなんでもなく、『キリストの受難(と、その後に起きるあまねくあらゆる人々の救済)をもたらします』という意味で言いました!それをわざと変な解釈してトランプさんをおとしめるのに使うのはやめてください!」と主張しているようだ。

 

それに対して、ツイッターなんかでは「誰かを応援するのに『キリストの受難をもたらすよ!』なんて言うやつがいるわけないだろ、嘘乙」みたいな反応がついているみたい。

 

どちらが正しいのかしらないけれど。

まあ、粒沢個人的には、「騎兵隊を連れてくる」のほうが、正直意味としては通りやすそうな気はするけどね。

Lawrenceさんが間違えたけど頑なにそれを認めていないという可能性はけっこうありそう。

 

とはいえ、「騎兵隊を連れてくる」と言ったことが、トランプ陣営が暴動の計画の存在を知っていたなんてことにはそもそもなるはずがないので(暴動に馬なんか出てこなかったでしょ)、前回も言った通りハナからどうでもいいんですけどね。

 

民主党陣営側は「トランプ陣営の反論が無理ありすぎ、不毛」みたいなことを言っているけれど、そもそも民主党側の弾劾裁判そのものが無理ありすぎなので、反論も意味不明でくだらないものにならざるをえないのかなあという感想を持ちました。

 

以上、誰に需要があるのかわからない、アメリカの弾劾裁判のCalvary論争のおさらいでした。

「トランプ元大統領が議事堂の暴動を煽動したかどうか」という弾劾裁判で、トランプさんが無事無罪になったそうだけれど。

その時にトランプを弾劾したい米国民主党側が用いた資料の一つに、「捏造されたツイッターの認証マーク」があったと話題らしい。

 

弾劾裁判の焦点は、トランプが国会議事堂で暴動が起こることを事前に知っていたかどうかと言う点にあったらしい。

民主党側が「トランプはすべて事前に知っていたし計画的に暴徒を煽動した!」という証拠として引用したのが、トランプのサポーターであるJeniffer Lawrence氏のツイートで、「トランプさん、私たちは16日にあなたのために闘います!私たちはCalvaryをもたらします!We are bringing the calvary Mr President!)」と発言しているものだ。(訳は正確ではなく粒沢による意訳ですのでご了承を。)

 
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民主党側の引用した画像では、はっきりとLawrence氏のツイッターのツイートらしき画像に認証マークがついている。

 

ちなみにこの画像を引用して大統領の有罪を主張したのが、Eric Swalwellという民主党の下院議員だが、過去に中国の美人女スパイらしき女性との肉体関係を持ったと噂される人物のようである。

が、今はそれはとりあえず関係ないので置いておく。

 

Lawrence氏は、「一度もツイッター社に認証マークをもらったことなどないのに、なぜSwalwellの引用した画像ではマークがついているのか。まさか大統領を陥れるために捏造したのか?」という意味のことをツイッターで発言しているらしい。

 

一方、民主党&大手メディア側の反論では「大統領がこの人のツイートを引用リツイートしたことは事実」「大統領のアカウントが削除されたため、大統領のツイートの再現画像を自前で用意しなくてはならず、その際に誤って認証マークをつけてしまった」と主張しているらしい。

 

まあ、どうでもいい話ではある。

認証マークがあろうがなかろうが、どちらにせよトランプサポーターが「あなたのために闘います!」的なことをツイートしたからといって、それが元大統領が暴動を煽動したとか事前に暴動が起きることを知っていたという解釈には無理がある(と、少なくとも粒沢は思うよ)。

どう考えても闘うという言葉を拡大解釈しすぎでしょう。

トランプの評価は人によって違うのはわかるけれど、こんなものを暴動煽動の「証拠」として民主党が提出しているのだから、よほど他に大した証拠もないのだなと思わざるを得ないよ。

 

それで、まあ何度も言うように心底どうでもいい話ではあるんですが、それにしてもJeniffer Lawrence氏のツイートにあったCalvaryという言葉が、何やらしょうもない議論を呼んでいるらしいです。

英語の小ネタとしてはちょっと面白かったので明日はそれについて語ろうと思います。

 

続く

大統領選挙について、結果が争点になっているミシガン州ウェイン郡の選挙管理委員会のメンバーである共和党員が、“承認の投票”を取り消して、『家族が脅されている』などの内容を含む宣誓供述書(affidavit)を出したのだという話だ。

 

affidavitについては昨日触れた通りだが、じゃあ“承認の投票”とはなんじゃらほい。

 

どうやら、郡ごとの選挙結果の確定は開票点検委員会Board of canvasserでの投票によって行われるらしい。

キャンバッサーcanvasserというのは選挙運動員のことだけど、両党の運動員が集まっているという体で組織されるのがこの開票点検委員会というものであるようだ。 

 

その委員会で、「今回の選挙結果が正しく開票されて確定したことに同意するか」という投票が行われるようである。

選挙自体の投票とは別に、結果の確定に賛同するかという委員会内の投票があるらしいのだ。ややこしいね。

 

今回の話は、この委員会の委員である共和党員が、一度は「選挙結果の確定を承認する」と投票したのだけれども、やっぱりその後になってこの投票を撤回したいと言い出した、という話なのだ。

撤回した共和党員の言い分としては、「本意ではなかったため撤回したい」ということなのだそうである。

 

ただし、この賛同の撤回は郡の選挙結果の確定を覆すような影響力はないとされる。

すでに郡の選挙結果が確定した後に承認投票を撤回したからと言って、選挙結果の確認作業をやり直したりすることはない、のだという。

そのため、撤回は共和党側の無茶は悪あがきであると見ている向きもあるようである。

 

ただ、共和党員が出した宣誓供述書(affidavit)本文(上記のツイートで公開されている)を読むと、

・本当は最初から選挙結果に不正の疑いがあるために承認の投票をするのを拒否しようと思っていた。

・なぜ不正があると疑っていたのかというと、デトロイト市の実に70%以上の区域で不在者投票の数が明らかに実際の投票数と辻褄が合わないなど、いつもとは異なる不審な点が数多くあったためである。

・だけど、承認をしない意向を表明すると、周りの民主党支持者から繰り返しレイシストなどと非難された。自分自身や、家族に危害を加えるぞとおどされたりもした

・「賛成の投票をすることは手続き的なものであり、開票点検委員会には承認を拒否する権限がないのである」という虚偽の説明を受け、それを信じてしまっていた。

…ということなのだそうだ。 
 

選挙の結果はどうあれ、上記の証言はいかにもありそうな話であり、虚偽である可能性は低そうである。
前回説明した通り、宣誓供述書affidavitで証言したことが明らかに嘘であった場合は、重大な罪に問われる可能性があるのだ。

民主党勢力が、結果に疑義を唱える共和党員を恫喝したり中傷したことまでは確かなのだろう。

 

仮にバイデン勝利という選挙の結果が覆らないにしても、決して本心から問題がないと思って賛同したわけではないのだ、ということを示しておくことには意味があると考えたのだろうね。

ここからは完全に推測だが、区域ごとの不在者投票数が辻褄が合わないということは、もしかすると普通に投票されたトランプへの票を抜き取って加工し、「郵便投票で遅れてやってきたバイデン票」にすり替えた、などの可能性もありそうな気がしてくる。
加工した票を戻した際に、区域ごとの不在者投票の数と辻褄を合わせることに失敗したのかもしれない。

どう決着するのかはわからないが、納得のいく説明がされて欲しい気はするね。 

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何気なくツイッター眺めていたら、以下のようなツイートがあった。

 


 

大統領選挙について、結果が争点になっているミシガン州ウェイン郡の選挙管理委員会のメンバーである共和党員が、”承認の投票”を取り消し、家族が脅されているとのaffidavitを出したのだという。

 

事実関係は一旦置いておいて、affidavitってのは耳慣れない単語だなあ、と思ったので調べてみる。

 

宣誓供述書(AffidavitStatutory Declaration)について

https://kklaw.com.au/archives/affidavit.html

 

↑ググって出てきた、こちらのサイトに書かれていたことを参考にしている。

オーストラリアの法律のサイトのようだけど、おそらく主要な考え方は米国も共通なのだろう。

 

アフィダビット、なんとなく楽しそうな語感だと思ってしまったが、日本語で言うと「宣誓供述書」と訳されるらしい。

日本だと法廷で証人が口頭で証言をすることはあっても、証言を文書で証言者本人が残すという習慣がない。
ましてや、宣誓なんて高校野球の開会式くらいでしか見ないわな。

アメリカではそういう、宣誓をして書面で証言する制度があるのだそうである。 

つまり、法的に有効となる証言をする際にはまず「これから話す内容が真実であることを神に誓います」という宣言をしてから、話を始める必要があるのだが、これが行われたことを証明した上で証言内容をまとめたものが宣誓供述書affidavitというものであるらしい。

特別な資格をもつ弁護士などがこのaffidavitを作成することができるそうである。

 

当然だが、affidavitで証言したことがのちに嘘であったと判明すれば、その内容にもよるが偽証罪となりうる

今回の場合、脅迫されたとの証言が仮に嘘であった場合、虚偽の証言をすることで大統領選の結果の確定を故意に遅らせたとして、素人目にはかなりの重い処分になりそうな感じがする。

「共和党員がデタラメを言って選挙結果の確定を妨害しているだけだろう」とみる向きもあるようだが、affidavitで誓約して証言している以上、完全な嘘を述べているとは考えにくいわけだ。

 

じゃあ、なんでこんなaffidavitを出しているの?そもそも最初のツイートにあった”承認の投票”ってなんのこっちゃ?というあたりは時間がないので明日に回したい。

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大統領選でしたけれど、
自分の予想ではトランプさんが大方のマスコミの予想を大きく裏切って今回も郵便投票とか関係ないぐらいに圧勝するんじゃないかと思ってましたが、そうならなかったのは残念でしたね。

結局マスコミが言っていたようなバイデンの余裕勝ちにはならなかったですが、いくつかの激戦州の得票数ではギリギリでバイデンが上回ったようです。

ただ、その票数の増加に不審点があるとトランプ側は主張しており、それについて法廷で争うという流れになるようです。

 

不正があるのかないのかは知りようがないものの、投票用紙が捨てられていたりとかいろいろ怪しい事例があるのは事実のようです。

とはいえ、選挙結果全体を左右するほどの不正の証拠を挙げられるかどうかについてはまあトランプ陣営がちょっと苦しいのかなというところでしょうか。

 

まあ、どちらにしても今後しばらくは大統領が決まらずにゴタゴタが長引くのでしょう。

なんにせよ、もし不正があるのであればそれを訂正した上で、正しく民意が反映された結果になってほしいですね。

 

で、 Twitter を見ていたら、奇妙な標語みたいなものがアメリカの地図と一緒にちょいちょい流れてきていたのが気になりました。

 

 


アメリカでは都市部の住民ほどバイデンを支持する傾向が高く、田舎の方ではトランプが支持されるという傾向がどの州でも見られたようです。

それをもって、「土地が投票するのではない、人が投票するのだ」というもっともらしい標語が付け加えられたツイートが広く拡散していました。

 

よくわかんないですよね。

色分けした地図から読み取れるのは都市部の人間ほどバイデンを支持するとか都市の方が田舎より人が多いとか、そういう情報のはずです。

確かに都市部に人は多いですが、そのこと自体は都市部が青くなって地方が赤くなることを説明してないですよね。

土地が投票するのではなく人が投票するなんていうのは誰にとっても当たり前のことでわざわざ指摘するまでもないはずです。

なんでこんな小泉進次郎の名言みたいな情報量ゼロのツイートがやたらと人気を集めているのでしょうか?

 

不思議なことに、このツイートを肯定的に回してくる人のほとんどがバイデン支持者だったように思います。

おそらくこのツイートに感動を覚えてしまうような人が言いたいことは、以下のようなことではないでしょうか。

 

つまり、「都市部の人間ほど正しい思想を持っていてバイデンを支持するが、地方の人間は間違った思想を持っているからトランプに投票する」と。

 

もっと露悪的に言えば、「都市部の人間こそが人であり、田舎に住んでいるのは人ではなく野蛮な動物か何かである。」と。

それをそのまま行ったら差別的だと炎上すること間違いないので、オブラートに包んだ結果が、「土地ではなく人が投票するのだ」という間抜けな標語なのではないんですかね。

 

まさかそんなことはないだろうと思いたいのですが、そうでないならばなぜ「人が投票するのだ」という結論になるのか理解できません。

 

確かに、得票数ではバイデンがトランプを上回ったかもしれませんが、周知のとおりかなり接戦になっているのが事実です。

田舎の赤いところのトランプに投票した人と、都市の青いところのバイデンに投票した人の総数はだいたい人数として同じくらいのはずですね。

「都市は人が多い」なら分かりますが、「人が投票する」みたいな結論を出そうとするのは明らかにおかしいです。

 

ここからは邪推が入ってしまいますけれど。

本来トランプであれ誰であれ、政治家を支持するとか支持しないというのは単なる好みとか立場の違いにすぎないはずですが。

反トランプの人は往々にしてトランプ支持者のことを「悪」とか「正義に反する」とかの道徳の問題にしたり、「無知だから」などと知識量の問題にしたがることが多いように見えるのです。

そういう人たちからすると、トランプに投票するような人を「人間」として認めたくないのではないでしょうか

 

あまりそうは思いたくないですけど、そう考えるとこのよくわからない標語がものすごくしっくり説明できてしまうと思うのです。

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