粒沢らぼ。

当ブログでは現役生命科学系の研究者が、気になった論文を紹介したり、考えていることを共有したりしています。可能な限り意識を”低く”がモットー。たまに経済ネタとかも。
書いてる人:粒沢ツナ彦。本業は某バイオベンチャーで研究者をやっています。本名ではないです。
博士号(生命科学系)。時々演劇の脚本家、コント作家、YouTube動画編集者。アンチ竹中エバンジェリスト、ニワカ竹中ヘイゾロジスト。
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カテゴリ:雑談 > グルメ

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料理のために急にホイップクリームが必要だけど近くに売ってない、という状況があり、
ホイップクリームを液体のクリームから初めて自分でホイップしました。

最初はさらさらだったクリームが、ずっと混ぜてるとちゃんと立ち上がるようになるのね。

空気を巻き込むと立ち上がるようになるという理屈はわかるけど。

機械もつかわずに泡立て器のみで初めて自分でやったので、割と感動があった。


参考動画 生クリームの泡立て方



考えてみりゃドラマや漫画に出てくるパティシエ、いつもなんかボウル持って混ぜてるイメージあったけど、あれ何混ぜてるのかよくわかってなかったな。これかぁー。

ラーニングしたぞ。


いつも特に何も考えずにケーキとか食ってますけど、クリームが自立するぐらいまでホイップして泡立てるって、けっこう大変なのね。

10分ぐらい無心で氷水につけたクリームをひたすらカシャカシャしなきゃいけなかったのでまあまあの労働感がある。

電気も機械もなかった昔の人はよくこんなものを考えついたもんだ。

これで美味しいクリームができるんだ、という確証があればやるだろうけど。

初めてクリームを泡立てた人はよくやろうと思ったよな…と、やたらと感心してしまった。

(輸送中に振ってたら偶然できた、とかなんですかね)


みなさんも、一度やってみると生クリームの素晴らしさを改めて感じられるかもしれません!

僕は多分めんどいから二度とやりませんが。やるにしてもミキサー買いますわ。


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最近肉食ってない。

ついつい昼は手軽だからとコンビニでパンやおにぎり、カップ麺ばかり食べてしまう。

飯代も上がっちまったからやむを得ないと思っていたが…。


夜に野菜や肉食って埋め合わせるからいいんだよ!と思っていると、夜は夜でまともに飯食わなかったり、家に米しかないから米でいいや、みたいになったりする。

これではいかん。圧倒的にいかん。


ここ数日そんな生活をしていたら、昨晩からとうとう、肉が食いたくて仕方ない。

体がタンパク質を欲している。

トンカツでもチャーシューでもチキンステーキでもいい。

溢れ出る肉汁にむしゃぶりつきたい。

ハムやソーセージでも、可。

朝飯の納豆、テメーはだめだ。テメーは肉に含まれないんだ。

大豆は肉とは認められないんだ。そんなズルは許されねえ。


動物の筋肉の繊維を咀嚼し、すり潰して嚥下するのだ。

それが正規の手続きってもんだ。

まがい物に割くスペースはおれのプレートにはない。

きっちり正面からかかってこい。


今日の昼飯はなんにしよう。

ステーキとか、カツカレーとか食うぞ。絶対に。絶対にだ。

肉を喰らい、食物連鎖の頂点に立つ。

そのために人間は、オレたちは生きているのだ。


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↑Thanarajah et al (2023), グラフィカルアブストラクト。

昨日の続きで、人間を対象に行われた、高脂質や高糖質の食事が人間の脳や行動を変えてしまうかを調べる実験Thanarajah et al, 2023)についてだ。


健康で普通体型の人を集めて、8週間の間、普段通りの食事に加えて1日2回、研究者が用意したおやつを食べてもらう食事介入を行った。

おやつはヨーグルトシェイクだが、「高脂質・高糖質グループ(HF/HS)」は脂質や糖質成分が多め、「低脂質・低糖質グループ(LF/LS)」はタンパク質が多めに調整されていた。

どちらもカロリーとしては約80kcalと同じであり、決してカロリーが大きく増えたわけではないところがミソだ。

その後、食事介入の前後で食べ物の好みが変化したか、あるいは脳の働きが変化したかを調べた。


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↑好みの脂質・糖質濃度が変化したかを調べる実験。


脂質量を4段階に変えたプリンと、同じく4段階に糖分量を変えたリンゴジュースを用意して、一番好きな味を選んでもらった。

食事介入後、HF/HSグループでは、いちばん低い脂質量と、一番高い脂質量のプリンを選ぶ人が減っていた。

最も高いものを選ぶ人が減ったのは予想と逆ではあるが、著者らは最も低い脂質量を選ぶ人が減ったのは、味の好みが高脂質寄りに変化していると解釈できる、としている。


一方で、糖分量に関しては、HF/HSとLF/LSで同じような挙動(高い糖分量のジュースを選ぶ人が増えた)が見られ、特に違いは見られなかった。


このことは、脂質の好みのほうが食事変化に影響を受けやすい可能性があることを示しているかもしれない。


また、「音が鳴ったあと次に表示される絵を予測する」というタスクを被験者にやらせているときの脳の活動をMRIで調べたところ、HF/HSグループではLF/LSと比べて“前頭前野腹内側部(vmPFC)”や“腹側線条体(Ventral striatum)”などで活動が増加していることがわかったという。


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↑絵を推測するタスク中のMRIによる脳部位の活動量計測。


vmPFCやVentral striatumは、予想と違うことが起きたときに行動を修正する脳の機能とかかわりが深いらしい。

すなわち、HF/HSグループのほうが刺激に応じて自身の行動を変えやすい状態にある可能性があるわけだ。


まとめると、研究者らは高脂質・高糖質の食事は健康で太っていない人の脳に作用する証拠の一端を見出した可能性がある。

食べ物の好みを変化させたり、脳の学習機能を強化してより多くの高脂質・高糖質の食事を求めるようにする作用が、高脂質や高糖質の食事にはある、と結論している。


味の好みの変化についてはちょっと証拠が弱い感は否めないが、毎日デザートをちょい足しする程度の比較的マイルドな食事介入条件で脳の活動の変化が確認されたというのは、興味深いね。


二郎系みたいにアホみたいな量の脂質や糖質を食い続けると、味覚の好みの変化や脳の機能への影響も、ずっとでかいのかもしれない。

ぜひ、毎日二郎を食った人とそうでない人で脳の機能の変化を調べてほしいものであるよ。





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粒沢のTwitter(@TsubusawaBio)のタイムラインには二郎系ラーメンを毎日のように食べる人がいて、まあそういう人たちを自分で選んでフォローしているからなんですが、さすがによく食べるなあと感心と心配が合わさったような感情を抱きます。

麺やブタ、糖分と脂だから旨いに決まってますよね。

絶対に太りますけどね。


一定以上太るような人は、常に食べ続けたり毎食二郎系だったり、普通体型の人と比べて摂取する糖や脂の量が尋常じゃなかったりするわけですが。

そういうのって普通は個人の味の好みの問題だと捉えられることが多いと思います。

ですが、糖や脂は麻薬にたとえられるほど中毒性があるとも言われており、学術的にそれを裏付けるようなデータも上がってきているそうなのです。


Habitual daily intake of a sweet and fatty snack modulates reward processing in humans
Thanarajah et al., 2023, Cell Metabolism
https://doi.org/10.1016/j.cmet.2023.02.015
 

これまでの研究では、マウスを使った動物実験で、高脂質・高糖質のエサをやると、脳内で分泌されるドーパミンの量が減ったり感受性が弱まったりしてしまうのがわかっていたそうで。

満腹になるとある程度快感が得られるのは正常なわけですが、エサの脂質や糖質の量や割合が高いと、だんだんと得られる快感が小さくなってしまう、ということのようです。

脳の報酬系が変化して同じ刺激では満足できなくなるわけですね。

しかも、高脂質・高糖質のエサをやったあとには、空腹になっても低脂質・低糖質のエサをあまり食べなくなるということも報告されていたらしいです。

味の好みが変わっていってしまうということですね。


また、高脂質・高糖質の食事は脳の学習機能にも影響しているということも指摘されているそうで。

食事が人間の脳に直接影響して、より多くの糖や脂を得られるように人間の行動パターンを変えてしまうことがこれまでも推測されていたそうです。


なんとなく、タイムラインの二郎系マニアが毎日二郎系ばかり食べていることと整合します。

要するに、元からデブ飯が好きなことも影響はあるだろうけど、デブ飯を食うからこそよりデブ飯を好み、デブ飯を食べるための行動をするようになるという経路もあるんじゃないか?と論文の筆者らは推測しているわけですね。


ってことで、人間で高脂質・高糖質の食べ物を食べる量を増やしたときに、より高糖質・高糖質のものを求めるようになるのか?また脳にどんな影響があるのか?をRCT(ランダム化比較試験)で調べたのが上記の論文なのです。


詳しい実験の内容と結果については明日にします。


続く


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いつの間にか外食にからあげブームが来て、去ったらしい。


Yahoo!ニュース「唐揚げブームの終焉 ワタミの失敗を専門家は『興味深い。専門店はタピオカと同じ運命を辿る』」


確かに、近所の国道にからあげ専門をうたう店がいくつもできたなあと思っていた。


最近は吉野家にも唐揚げを牛丼にトッピングできるようになってたよね。

吉野家のからあげはじっさいうまかった。

肉汁がじゅわってしててジューシーだった(安倍さんリスペクト)。

ガスト内にも「から好し」っていうからあげ専門店ができてたな。

(ガスト入ると、から好しのからあげ定食のメニューが選べるの、客としては意味がわからんけどな。

商売上は単独で出店するよりも投資リスク抑えられていいんだろうね。)


でもさあ、からあげはうまいけど、結局自分で調理するのと大差ないのが不満よね。


鶏モモ買って自分で揚げるの、そこまで大した手間じゃないからな。

もちろん、忙しい社会人にはなかなかその時間すら取れないというのはあるけどね。

でも鶏からって鶏モモ買って小麦粉つけて揚げるだけだから、一旦作り方覚えるとほんとにカンタンなんだよな。


吉野家のからあげ牛丼のセットもうまいんだけどね。

「店じゃないと食えない味」という感じでもないし、自炊するのがそこまで難しいものでもないんすよ。


確かに、入ったお店でからあげがメニューにあったら注文することはある。

でも、あえてからあげを食べにからあげが売りのお店に行くってことは、少なくとも粒沢はないっすね。


それだったら焼き鳥とか鶏鍋のほうが、よっぽど家じゃ食えないものだし。

鶏肉の味を楽しんでる感じがするし。

あー、焼き鳥食いてえ!


吉野家にせよ、ケンタッキーとかもそうだけど、家庭料理じゃ出せない独特の味が出せないと、一時のブームで終わってしまうって話だよね。

優位性のないものは長くは残らない。

そりゃそうなんだけど、商売はキビシっすね。


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