粒沢らぼ。

当ブログでは現役生命科学系の研究者が、気になった論文を紹介したり、考えていることを共有したりしています。可能な限り意識を”低く”がモットー。たまに経済ネタとかも。
書いてる人:粒沢ツナ彦。本業は某バイオベンチャーで研究者をやっています。本名ではないです。
博士号(生命科学系)。時々演劇の脚本家、コント作家、YouTube動画編集者。アンチ竹中エバンジェリスト、ニワカ竹中ヘイゾロジスト。
Twitterアカウント:@TsubusawaBio←お仕事などの依頼もお気軽にこちらへ。

カテゴリ:雑談 > 音楽

ogp_v2

すみっコぐらしの映画を観た。


”すみっコぐらし”とは、部屋の隅っこを「ここが落ち着くんです」と言って集まってくるような、おとなしくて若干ネガティブ寄りのゆるいキャラクター達が登場するタイトルで、グッズが作られたりアニメが作られたりしている。

寒いのが苦手な「しろくま」とか、本当はペンギンじゃない「ぺんぎん?」、脂身が多すぎて食べ残された「とんかつ(の切れ端)」など、アイデンティティが薄弱でありさえすれば生物と死んだ動物の肉が対等な顔をして登場するという、独特の世界観を有する。

子供から大人まで幅広い世代に人気があるらしい。

今回観た映画『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』はシリーズ3作目、だそうだ。


内容はなかなか面白くて、ネタバレは避けるけど、油断して見ていたら不覚にも泣いてしまうなどした。

(粒沢さんはアイデンティティが希薄な存在が健気かつ必死にバリューを出そうとする話に案外弱いところがあります)


それで、その映画のテーマソングがPerfumeによる「すみっこディスコ」である。

サビは「Watching, watching すみっこディスコ」と繰り返すだけの非常にシンプルな歌詞だ。

そもそもシンプルな歌詞が多いPerfumeとはいえ、その中でも1ループが相当に短いのではなかろうか。




だいたい「Watching」とは誰が何を見ているのか。


すみっコぐらしの面々は、基本的に引っ込み思案であり、部屋の真ん中で目立つ資格がないとか考えているタイプのキャラクターが多い(例外もいるが)。

踊って場を盛り上げるのは他の誰かがやっている。

一見すると、いてもいなくてもおんなじ。

そんなごく淡い存在感しか持たない者同士だけど。

それでも「僕たち」はお互いを見ている。

存在していることを確認しあっている。

それだけで、存在する理由としては十分ではないか。


映画のストーリーを見たあとの解釈も含めれば、そんな「存在することに対する赦し」を感じる楽曲に思える。


そういう意味で、「Watching, watching」という歌詞は考えれば考えるほど見事だ。

第一印象こそ「何がWatchingなんだ?」と少々取り残された感じがあったが、実は1種類2単語で、「すみっコぐらし」という作品の本質を射抜いている、のではないだろうか。

実に美しい。そう思います。


おそらく作詞作曲の中田ヤスタカに対して
「中田さんーすみっコぐらしのために一曲作ってくださいよ、チョコレートディスコみたいな感じで、タイトルはすみっコディスコで!www」

みたいなある意味ざっくりした依頼があって作られた曲なのではないかと勝手に想像しているが。

きっかけは雑でも、作品のテーマを完璧に読み解いた上でPerfumeらしさ、中田ヤスタカらしさを加えたスタイリッシュな曲と歌詞を作ってしまう。

さすがプロの仕事、と言わざるを得ない。


見てから一週間ぐらいずっと「Watching, watching すみっこディスコ」が脳内ループしているのである。

中田ヤスタカすごいですね。天才です。


61-bK19WtrL._AC_

久々に
オフスプリングのプリティ・フライが聴きたくなっている。


↓これね。



意味が分からなくても聴いてるだけで楽しい曲だけど、歌詞の内容としては「センスがないのに無理矢理カッコつけようとしてるせいでダサすぎて逆に面白い奴」(上記PV参照)の歌です。


歌詞の内容書くだけで笑っちゃうよね。


He needs some cool tunes, not that any will suffice.

They didn't have Ice Cube so he bought Vanilla Ice.

イケてる曲が欲しくてヤツは店に行った、別に何でも良かったわけじゃない

アイス・キューブ(人気のラッパー)がなかったからってヴァニラ・アイス(昔の歌手)を買いよった


とか


He's getting a tattoo yeah, he's gettin' ink-done.

He asked for "13", but they drew a "31".

ヤツが入れ墨を入れるらしいぞ、二度と消せないインク入りでやるらしいぞ…!

ヤツは13って希望したのに店員に勝手に31って入れられてもうた!


とか。

韻もバッチリ踏んでるうえに、「クールを履き違えてアイスクリームの方向に行ってる」という謎の一貫性が発生してて、めちゃくちゃすごい歌詞だと思ってます。最高です。


ところでサビの

At least you'll know you can always go on Ricki Lake.

の意味が昔から分からなかったんだけど。

リッキー湖ってなんだ?と思ったけど、これまで特に調べようと思ったことはなかった。


改めてググると、リッキー・レイクというのはアメリカの有名な女優であり、同名のテレビショーの司会者らしい。

go on Ricki Lake は、「リッキー・レイクのテレビ番組に出る」、ということだったんですな。

ではなぜそれがダサいことなのか?


リッキー・レイクのテレビ番組のウィキペディアによると、番組で扱われる主なテーマは子育てや家庭内不和、ロマンス、LGBT問題などであったらしい。


Wikipedia "Ricki Lake" 


暇な主婦層をターゲットにしたワイドショーみたいな感じですかね。

要するに、「少なくともお前ならいつでもリッキー・レイクに出演させてもらえるぞ」というのは「ただし、お母さんに反抗してイキってる“子育ての失敗例”として、だけどな!」という意味だったっぽい。


辛辣ぅ〜。笑


いずれにしても、歌詞中にもあるとおり、


「この世界はワナビーを必要としてる、いやどちらかというと愛してるんだ!

もっとワナビーを増やせ!その新しくて面白いことをどんどんやれ!!」


というのは、なんだかんだあったかいし、その通りよなあと思います。

ワナビーがいるおかげで世の中回ってるんだから、ワナビーをバカにしてるだけってのもそれはそれでダサいんだよね。

みんなもっとワナビーになって、知識のないことにもガンガン挑戦して、かっこ悪く失敗しようぜ!…などと思いますね。


515NvZYcGWL._AC_

最近よく作業中に、頭の中で勝手に井上陽水の「ありがとう」が流れてくる。
 

中年以上の人で聞いたことのない人はまずいないだろう。

好きな人も嫌な人も、とにかくみんなに感謝しよう!というドチャクソわかりやすいメッセージの名曲だ。
 

確かに、いろんなひとがいるおかげで、自分の暮らしが成り立っている。

また、他の人の異なる考え方に接することで、自分の考えが深まったり新しいことに気づけたりする。 


粒沢自身も、好きな人だけでなく苦手なことからもいろんな恩恵を直接・間接に受けているなあと思うと、確かに「みんな、みんな、ありがとう」と言いたい気持ちになってくる。

とてもいい歌だよね。


しかし、こう戦争みたいな時代になってくると、歌詞の内容にも思うところが出てくる。


戦争、それも一方的な侵略で住処を奪われたり、家族や知り合いを殺されたりした人は、相手の国の人に「ありがとう」とは間違っても言わないだろう。普通は。

嫌な人や意地悪な人にもありがとうと言おう、と思えるのは、あくまで平和な時代でそれなりに呑気に暮らしていけるから、ということでもあるのだよね。

いろんな人にありがとうと言えるというのは、平和な時代、おたがい潰しあうような根本的な対立が少ない時代でしか成り立たない歌詞なのかもしれない。

そんなことを思う。

イヤだね。戦争は。


なお、子供の頃に実家にあった「井上陽水GOLDEN BEST」の2曲目が「ありがとう」だったのだが、CD世代はCDの曲順に歌を聞くので、「ありがとう」の脳内再生が終わると脳内で勝手に3曲目の「Make-up Shadow」が再生される。

こちらも、歌詞の意味はよくわからないがめちゃくちゃオシャレでカッコいい歌だ。

井上陽水のねちっこい(?)クセのある歌い方がとてもハマっているので、なんとなくマネするだけで楽しい。


ムゥウェイクアップ・シャドウニー…!

(テッテレッテ テッテレッ フウゥウゥー)

ムゥウェイクアップ・シャドウニー…!


ベストアルバムの中で一番好きかもしれない。(「氷の世界」とどっちを1位にするか迷う)


music_hikigatari_man
非常にどうでもいい話をしますが。

 

そんなに元から音楽を聴く方でもないんだけど。

高校生のころ、同級生が「男の歌手をわざわざ聴く人の気持ちがわからない、どうせ聴くなら女性歌手の方がいいよ」っていうのを、以前は「こいつ軟弱だなあ」と思っていました。

「男だったら男ボーカル聴けよ!」と。

 

けど、最近流行っている男性歌手の曲を聴いてると、むしろ女性ボーカルのほうが落ち着くし、男性ボーカルのやつはなんかムズムズして居心地が悪くなることに気付いてしまいました。

 

特にあのヒゲダンの愛の鼓動がどうとか、誰それのドルチェガッバーナがどうかくれんぼが何みたいなやつ、聞いてるとこっぱずかしくなるのですごく苦手っすね。

苦手なら聴くなよという話ですが,よく行くお店の有線でながれてくるので回避不能なのです笑。

恋愛のしっとりした系のやつを男性が歌うのを聞いていると、チャラ男が女性をナンパしてるのを横で聞かされているようなむず痒い気持ちになりませんか?

僕だけでしょうか?

 

まあ、自分は青春時代に聞いていた曲がB'zの恋心とかなんで、そもそもジャンルも何もかも違うんですけど。

 

思うに、今時の男性歌手のそういう曲は、女性ファンに受けてなんぼという作られ方をしてるんでしょうから、そもそもターゲットじゃないのかもしれませんね。

この辺は、「アニメの萌えキャラソング」を聞かされている非アニオタ女性の感覚に近いのかもしれません。

別にターゲットじゃない曲を流すなとかそういうことは言いませんけどね。多分みんな好きなんでしょうし。

 

要するに最近の男性歌手が鼻声みたいな声で歌うしっとりした曲は軟弱な感じがしてどうも苦手だという話なんですが、個人的にはさだまさしくらいになるとむしろ平気かなあ。

さだまさしなんてしっとりもしっとり、軟弱も軟弱だから論理的に考えたら絶対だめだろという気がしますが、わりとめちゃくちゃ好きです。「縁切寺」とか「飛梅」とか。

何ででしょうね。ようわかりませんけど。小さい頃にテレビで聴いていたからかなあ。

 

まあ、おっさんになって、最近の若者の感性についていけなくなったということでしょうね!!

eyecatchMain


B’zのライブ配信超最高だったという件の続きです。

 

ライブ配信、もちろんデメリットがないわけじゃないとは思うんですよ。

エンタメを配信するデメリット、今思いつくものをざっと挙げると、

・コンテンツの内容によっては、配信と言う形式では相性が悪い場合があるかも。(静かな演劇とかは向かないかも?)

・実際に人が動かないので、イベント開催側が物販を行うことも難しく、物販が大きな収入源であった場合は損失が大きい。社会的・経済的には、交通費や宿泊費等が発生しないため、旅行業界やホテル業界への経済的波及がないという面も。

・観客が配信に慣れてしまうと、今後ライブ会場に足を運ぶ人が減ってしまうかもしれない。

・実際に現場で体を動かしているわけではないので、一体感や高揚感は得られにくいかもしれない。

・音質が生音にはかなわないという考えもある。また、大音響で振動を肌で感じるということは自宅では難しい。

・視線がカメラにより固定されてしまい、好きなときに好きなところを見ることができない。

・映像の編集を行うのにかなり手間がかかり、そうした方面の専属スタッフを用意できない場合は後クオリティーの配信を行う事は難しい。

・知名度の低い団体にとってはライブ配信するコストが想定する観客の数に見合わない。

 

と言うことで、すべての団体にとってライブ配信が可能だとか対面式のライブよりもメリットがあるとかは全く思いませんけれども。

 

でも、上記に挙げたような点は、少なくとも自分がB'zの音楽ライブに求めているものと言う意味ではそれほどデメリットでもないんですよね。

1番大事な事は、今のB'z2人が歌ったり演奏しているところを自分の目と耳で確認すると言うところですからね。

録画で過去の曲を聴くのとは全く意味が違うんですね。

少なくとも今回、ZEPP羽田でお二人が演ったというのは、今まさに起きている現実なわけですから。

 

あと、B'zほどの人気アーティストになると、元からライブも後日DVDなどの映像コンテンツとして発売することを念頭に作られているでしょうから、映像関係のスタッフワークも当たり前ですが完璧です。

非常に見応えのあるライブ映像でとても良かった。

まあ、他のすべてのアーティストに同じことができるわけでは無いかもしれませんが、そういう細かいことは置いておいて、個人的には今回のライブは大満足でした。

 

対面式のライブよりも配信ライブの方が価値として劣っているとは正直全く思えないですね。

 

コロナがどうなるかはともかくとしても、「生で見る芸術は配信にはかなわない」などと言っていては取り残されていくだろうなという感慨を強く持ちましたね。

配信という形の表現活動は、感染対策の仕方なしの代替手段などではなくこれからの表現のメインストリームになっていくのだろうなという実感がします。

オールドな世代の人たちは、「生の表現であること」にあぐらをかいていたら、多分あっという間に忘れ去られるんじゃないか。

自分もいいかげんおっさんの年齢なので、自覚していきたいですね。

このページのトップヘ