たまたま暇があったので、手元のタブレットに入っていた電子書籍をパラパラと(電子書籍ですけど)めくってみる。
安倍官邸の正体(田崎史郎)という本だ。
多分なんかセールの時に購入して、放置していたんだと思う。
安倍前総理が第二次政権を発足してしばらく経った後の2014年に出版された本だ。
安倍総理や安倍政権の中の人たちがどういう人物や行動原理を持っているのかについて書かれた本だ。
内容は必ずしも批判ばかりと言うわけでもなく、どちらかというと褒めるべきところは褒めるというスタンスで書かれているように思われる。
その中で、安倍総理(当時)の答弁として面白い言葉が載っていた。
2013年の、安倍さんが総理に復帰後初の予算委員会で石破茂に「ご決意を承りたい」と問われた安倍さんが答えたところだ。
安倍さんは、第一次安倍政権(2006-2007)の時に、健康問題のため、投げ出すように総理を辞している。このことについて、
「私の気持ちとしては、まさに私の自信と誇りは粉々に砕け散ったわけでありまして、この砕け散った誇りや自信をまずは拾い集めていくことも必要だったわけであります。」
と、自身の当時の心境を語っていたらしい。
“誇りが砕け散った”、”砕け散った誇りを拾い集めていく”、とはすごい表現だね。
著者の田崎さんも強調しているところではあるけれども、なかなか本当に苦労してないと出てこない表現だと思う。
その前後も含めて、当時の安倍さんはプライドが本当に木端微塵に粉砕☆されたのだろうと思わされるね。
それまでが順調すぎたと言う見方もあるかもだけど、少なくとも当人にとってはめちゃくちゃ辛かったんだろうなとは思う。
で、その心がパリーンなった安倍さんは、本によると、これまでの強引に自分のやりたい政治を推し進めるやり方(“美しい国”路線とか)を反省し、より慎重な姿勢に切り替えたらしい。
憲法改正も本当はやりたかったんだけど、国民の理解が得られてないからということで、あまり強く推進するのはやめたんだそうだ。
安倍さん個人に対する評価や憲法改正の是非はともかく、そういう慎重姿勢が結果として長期政権につながったという面はまあありそうだ。(この本は2014年だけど、安倍政権は長く続くだろうという予測をしており、実際に2020年まで続いたのだから当たっているね。)
結局、政権にあるうちに悲願の憲法改正は果たせなかったけれども(アベノミクス成功したのも最初だけだったしねえ)。
安倍さんにとっては残念でしたねえ。
まあそれはそれとして、何事もイケイケではなくて慎重に進めた方がいいとは思うよ。うん。