粒沢らぼ。

当ブログでは現役生命科学系の研究者が、気になった論文を紹介したり、考えていることを共有したりしています。可能な限り意識を”低く”がモットー。たまに経済ネタとかも。
書いてる人:粒沢ツナ彦。本業は某バイオベンチャーで研究者をやっています。本名ではないです。
博士号(生命科学系)。時々演劇の脚本家、コント作家、YouTube動画編集者。アンチ竹中エバンジェリスト、ニワカ竹中ヘイゾロジスト。
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2020年02月

貝の真珠層(“ナクレ”とも言うらしい)、いわゆる貝の裏の虹色のキラキラの部分であるが、といえば生物の作る物質の中でも相当に硬いものであることが知られている。最近出た論文ではこれと類似の構造を木材から作ることも可能になったらしい。

Artificial Wooden Nacre: A High Specific Strength Engineering Material
Chen et al, 2020, ACS Nano

なんとなく面白そうなので読んでみた。
真珠層の構造は、ミルフィーユのように平面構造が積み重なった形をしており、これが硬さの原因であると言う。
今回の論文では筆者らは、木材の繊維を破砕してから、地下水に浸すことによってミネラル成分を吸着させ、その後にフリーズキャスティングと呼ばれる手法によって天然の真珠層のような相乗の構造に繊維の並びを再構成している。
その後、プラスチック樹脂を繊維の間に流し込んで固めることによって形を固定する。
こうすることによって、非常に硬くてしかも軽量な木材由来の真珠層を作ることが可能だという。
木材真珠層ボードは普通の貝殻の大きさよりもずっと大きくつくることができ、ホームセンターで売っているいた位の大きさは余裕で作れるらしい。
大人が2人乗っかっても折れない位の強度がある。
また、本物の貝の真珠層は水よりも重いが、木材真珠層ボードは水よりも軽いため水に浮くという。

この木材真珠層ボードを作るのに重要であるフリーズキャスティング技術と言うのは、自分は知らなかったが実はかなり昔からある手法のようである。
ミルフィーユ状の層状構造を比較的簡単に作ることが可能で、セラミック等の素材を作るのに使われてきた手法らしい。
木材由来のリグノセルロース繊維を固められるように新たな工夫が必要であったようだが、ものすごく画期的な技術革新があったと言うよりは、ベースとなる技術は昔からあるもののようだ。
プラスチックを流し込んで固めているから真の意味で木材とは言い切れないのかもしれないけど、見た目やおそらく触った時の質感がこれまでの普通のセラミック素材とは違って温かみのある感じになるのかもしれない。
昨今は、ツヤツヤのセラミックで出来た人工物よりも、環境に配慮して自然と調和した暮らしに着目が集まっていると感じる。
木材真珠層は、エコだったり自然派な嗜好を持つ人にも興味を持ってもらえるような、付加価値を持った新素材と言えるかもしれない。
論文の著者らとしては木材真珠層ボードの売りは軽量で丈夫であることらしいけどね(まあ化学論文ではなんとなく見た目が良いとかは書きづらいよな)。

たまたま別の目的でネットを見ていて、株式会社カルビーの社長を9年間勤めた松本晃氏が2018年に退任する際に書かれたインタビュー記事を読んだ。



ざっくり要約すると、人間や組織が変わるためには環境を変えなければいけないということだ。
また社員が働きやすい会社にするためには余計な縛りをなくすことが重要であるとも言っていた。

まあ自分は疑り深い正確なので、この手の「プロ経営者」インタビュー記事は、1つには自分の実績の自慢と言う面もあるだろうと思うからある程度話半分に聞かなければいけないと思う。
また雇われ経営者上としては何か外から見てわかりやすい改革をしかける必要があったのだろうという事情もある。
彼の在任期間中に新商品が開発されるなど会社が飛躍したと言うが、それは彼の行った政策と本当に関連があるのだろうか?
部外者には正確なところはわからない。

それでも彼の改革で面白いなと思うのは、「まっとうに努力して会社に貢献すればそれに見合った報酬が得られる」と言うメッセージを社員に刷り込もうとしていたのだなと言うことだ。
 
例えば各人が決まったディスクを持たないフリーアドレス方式にすることで、社員が余計なことにあれこれ気を取られて、当初の目的を忘れるのを防ぐことができるという。
当初の目的というのは何かと言うと、シンプルに「世のため、ひとのため」「もうけること」であるという。
確かに、身の回りに雑物が増えていくと 、そういうシンプルなものの見方を阻害してしまうということはありえるかも知れない。(まあ、ぶっちゃけフリーアドレスは面倒臭いのでやりたくないが)

自分自身は大手企業の事はよく知らないけれど、よく友人や知人から聞くところによると、世の中には有名一流上場企業であるようなところでも、年齢が高かったり社内で地位が高いだけの人が無駄に威張っているという企業は少なくないようである。
特に、意味もなく威張っているその手の人になんとなく嫌われてしまうと、大して意味のないことで叱られたり、会社に貢献しているのに給料が低いまま抑えられてしまったりと言うことが、残念ながらしょっちゅうあるようだ。
そのようなことがあると、当たり前だけど社員としては売り上げをあげたり新製品を開発して会社に貢献しようと言う意識がなくなってしまうものだ。

やはり組織としては、まっとうに頑張ればきちんと評価されるし、会社に貢献しないで働いているふりをしたり威張っているだけのような人は評価されないというのが正しいということになろう。
松本氏の物事をシンプルに捉えて部下にメッセージを送る姿勢は、まあ好感を抱かなかったと言えば嘘になるか。
参考になるときがくるかもしれない。

大規模な音楽ライブが中止されるなど、世の中はかなり自粛ムードになってきた。

スポーツジムや映画館も感染拡大の原因になっている話もあり、とにかく出歩かないでおとなしくしているしかないという状況になりつつある。
残念ながら日本の経済に大きな影響が出るというのはほぼ確実となってしまった。

自分などはコロナウィルスに無限に不安を抱いても仕方ないなどと思ってしまいがちなのだが、得体の知れない病気が蔓延するということで強い不安を抱き、PCR検査などで新型コロナウィルスであるかないか確定してもらいたがる人というのが多くいるそうだ。
そういう人に科学的に正しくないと言っても始まらないので、医療の現場ではそういう人たちの不安にもどうにか対処することが現実として求められる。



Twitterのmedtoolz氏の推測するところによると、 そういう強い不安に駆られた人は「努力」をしてしまうので、「努力」に見合った報酬(薬や、何か特別な治療法など)が得られるまで絶対に諦めずに粘ってしまい、現実問題として医療関係者のリソースを奪ってしまうものらしい。
岩田健太郎などは非医療関係者の気持ちよりも科学的事実が優先されるべきと言っていたが、実際に現場で患者を対応しなければいけない立場としてはそうとも言い切れないわけだ。

もちろん、そういう人に与える報酬でかえって医療機関の負担が大きくなってしまってはいけないものの、 なんらかの比較的容易な検査などを提供する必要があるのかもしれない。
medtoolz氏はその後のツイートで、例えば肺の画像を取得したり血液を採取しての検査は行うとか、重症化した際にはベッドを提供することを約束するとか、そういう道もあるのではないかという趣旨のことを述べていた。
これらが実際の医療現場でどれくらい難しいことなのか、それとも実現可能なのか、自分にはそこまでわからないので断定的なことは言えない。重症化した人に対する対応を優先したほうがいい気もしないでもないが、発想としては非常に面白いと思う。

そもそも、ふつうの風邪で病院に言った時に抗生物質をもらうことが多いことだって、医学的にはあんまり意味がないとこれまで言われてきた。
それでもなんとなく抗生物質を飲めば治るような気もしていたのは少なくとも子供時代の記憶としては事実だ。

コロナウィルスの疑いのある患者にも、肺の検査を行って肺炎の疑いがあれば感染予備軍として扱って、普通に抗生物質を出して寝ていてもらいながら、重症化しない限りは安静にしてもらって経過観察、というのが割と良いのかも。

政治家の橋下徹の「大学をコストカットしろ」と言う趣旨の発言がTwitterで話題になっていて、それに対する物理学者のOgasawara氏が反論をしていた。




この件については問題の切り分けが重要であるように思う。
先に結論を言うと、橋下の言っている事は個人としては正しいが、政治家としては間違っている。
Ogasawara氏の発言は前者には全く反論になっていないが、後者を対象としたものである。

個人としては、将来の需要を先読みして需要のあるようなことを勉強するとか専門性を身に付けると言うのは全く正しい。
専門性というのは諸刃の剣で、その分野でトップに近い実力を身につけるかニッチで需要のある技能でうまく世間にフィットするしか生き残る術がない。

かく言う自分も、もともとは理学部系の純粋な生物学出身であり、もともとは応用などが考えにくいような分野にいたが、そこでトップレベルの実力があったわけでは到底なかった。
そこで危機感を覚えて、生物や化学、物理学などの知見を組み合わせて生体分子の精密計測を行うような分野に移ったという過去がある。
そちらの方でもトップレベルの業績と言うには到底及ばない成果しか出せなかったが、その時に身に付けた専門性をもとに今の仕事に就くことができた。
まぁ人に自慢できるような経歴かはともかく、自分の目標であった研究をしながら飯を食うと言うことは一応今のところ達成できている。

要するに、個人の生き残りを考えると、世の中の需要に合わせて自分の専門分野をある程度修正行くして行く必要がどうしてもある。
Ogasawara氏も、個人として生き残りを考えた結果需要のある海外で済むことを決めたのだから、橋下の言う通りにしていると言える。
その意味で橋下徹の言っている事は間違っているわけではない。個人としては、ね。

ただ、企業のトップであるとか政治家であるとか、社会集団を率いるような立場の人がこれでは問題があると言わざるを得ない。
将来、その企業や日本としてどういう産業を育てて国民や社員を食わせていくのかという視点で考えると、橋下のような”コストカットの専門家”の言うことばかりを聞いていてはいずれ没落していく未来しか見えない。

もちろん橋下や、その他多くの政治家からすれば、自分が生きている間に日本が崩壊したりしなければその後はどうなっても本質的には関係ないだろう。
だが、その後に残される一般の国民は、産業によって収益を上げてメシを食う必要がある。
また、日本の文化的・歴史的財産を維持し、新しい価値を創出して世界から良い意味で注目される(期待感を持たれる)国であり続ける
あるいは、迫りくる環境問題や外国の不穏な行動に対して対処して自分たちを守る必要がある。
そのためには、理系分野だけでなく歴史や文化など様々な専門家の力が必要になる。
そのような人材が軒並み海外に流出し、ましてや海外の政府や国民のために働いていたら日本の国民はどうなるのか、ということである。

要するに、橋下の言っていることは政治家としてはなんのビジョンもない。
言い換えれば、国民の将来をどう守るかという視点もない。
物理学者のOgasawara氏の指摘はそこをついたものだ。

この個人と社会の話の切り分けが出来てないと、社会集団の話をしているのに、金を稼いでいるから偉いんだとか個人の成功や栄達の文脈で反論されてしまう。
(金を稼いでいる人が没落しにくいというのは事実だからこの筋で勝つのは正直難しい。)
政治家であれば社会に対するビジョンがあるか、企業経営者であれば会社の将来についてのビジョンがあるかどうかを国民や社員は問うていくべきであろう。

WordPressにテーマ「Cocoon」をインストールするのを初めてやったのでその工程を自分がやった通りに書いていくよ。
まあ研究で言うところの実験ノートみたいなもんですね。


WordPressでウェブサイトづくりを始めるからには、テーマを選択しなければならない。
WordPressの自分の画面にログインするとサイドバーの 外観>テーマ からいくつかのテーマが選べることがわかるが、どのテーマがどういうことができるのか、そこだけ見ててもいまいちよくわからない。

そこで、「WordPress テーマ おすすめ」とかでググると例えば以下のようなページがヒットする。
Cocoon、Stinger、Lightningなどのいくつかのテーマがあることがわかる。
無料のものである程度触ってみて、どうしても機能面で不満があれば有料も検討するかな、ということでとりあえず有料のテーマは候補外。
(つーか、慣れてる人にとっちゃ当たり前なんだろうけど、「テーマを自分で開発して有料で売ってお金を稼いでる人がいる」というのが、なんか慣れないよね。)
とりあえず初心者におすすめでいろんなウェブサイトに適合させやすく、無料で使えるのがCocoonであるらしい。
そう言えば、最近「WordPressめっちゃ簡単にウェブサイト作れるよ」って教えてくれた知り合い(その人もWordPressは始めたばかり)が使っていたのもCocoonだったのを思い出した。
使っている人が多いみたいだからきっとQ&Aとかも充実してると期待できそう。
よし、まあとりあえずはCocoon使っときゃいいだろう。ということでテーマはCocoonに決定。

早速WordPressのログインした画面(WordPress管理画面)の 外観>テーマ から”Cocoon”を検索で探してインストールしようと思うが、そんなものないと言われる。あれ?
どうやら、Cocoonのインストールは、一旦自分のローカルにCocoonの構成ファイルをダウンロードしてそれをWordPress管理画面からアップロードする必要があるらしい。

オーケーそういうことなら、と「Cocoonの親マスターファイル(上記リンク参照)」をダウンロードして、ダッシュボードにアップロードしようとしたところ、「リンクが切れています」とかエラーメッセージが出てうまくいかない。
上記のページによると、どうやらロリポップのサーバーのアップロード時の容量制限に引っかかってエラーになってしまうことがあるらしい。
(自分のサーバーのphp.iniを確認すると、20Mまで大丈夫だから10M代前半の親マスターファイルは余裕でいけると思うんだが…よくわからん)

これの解決方法は、「低サイズ版の親マスターファイルをダウンロードしてアップロードしたのち、更新を行う」ということであるらしい。
その通りに、低サイズ版の親マスターファイルをダウンロードしてアップロードすると…今度はうまくいった。
この時、「有効化」というボタンが表示されるけどまだ有効化してはダメで、管理画面の 更新 からCocoonを選択して更新する必要がある。

続いて、「子マスターファイル」をCocoonのサイトから同様にダウンロードして管理画面からアップロードする。
子マスターファイルのアップロードが完了したら、有効化していよいよCocoonインストール完了、使用可能になるとのことだ。
親マスターファイルを直接有効化して使用するのは、よくわからないけど後々困るので絶対にやめたほうがいいらしい。まだよくわからんけどいいや。

*** 

いずれにせよインストールはできた。Cocoonのバージョンは2.1.0.4。
ふう。。
多分慣れてないせいだろうけど、なかなか大変だなこれ。

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