米国で逮捕されたハーバード大学の著名教授の研究について調べた件①の続き。
リーバー教授のナノワイヤーを始めとするナノ物質科学の研究、眼球の中の網膜に電極取り付けるのは派手で目立つけど、一方で基礎的な現象の研究もずっと行われてきたわけで(自分はその詳細まで追えてないけど)、30年以上にわたる長年の蓄積はきっとものすごい財産なんだと思う。
そのような人材を中国が欲しがるのも全くわかる話だよね。
多分逮捕された研究者本人には当初は悪気とか一切なくてラボ運営のためのカネもらえるなら協力でもなんでもするわ、って感じだったと思うんだよな。
そして米国人の科学者はともかく、米国の当局としてはアメリカの技術的優位性を維持するために中国に技術を渡したく無いというのもものすごくわかるよね。
日本が最近世界で売れるものを作れていない原因の一つに、アジアにアウトソーシングしまくった際に技術流出させちゃって、技術的優位がなくなったせいだなんて話も聞いたことがある。
世界が鎖国的な方向に向かうのは残念という見方もあるけれど、基本的に自分の国で開発した技術は自分の国を発展させたりビジネスで成功するのに使って欲しいとその国の政府や国民は考えるだろうな。
そうでなければ、税金などから技術に投資した甲斐がないしね。
ましてや敵対的な関係にある国に技術を流すのは、将来的にみて自国を危険に晒したり没落を招く危険性があるということなら、尚更だわな。
しかし、「自分で新しい分野を開拓し、多数の新しい技術を開発して世の中に多大な影響を与え、学会の第一人者として名声を欲しいままにしたハーバード大学の教授」なんて、これ以上ないサクセスストーリー、科学を志したことのある人なら羨ましいなんてものじゃないんじゃないか。
前回のNYTの記事でも言われていたけど、「これ以上望むものなんてありますか?」って感じの人生だよね。
まあ、応用や世の中の役に立つなんて興味ない、みたいな考え方もあるんだろうから、みんながみんなではないのかもしれないけどね。俺はやっぱり羨ましいぞ。
そういう人が、中国と関わっただけで逮捕されてしまうというのは、ちょっと可哀想だという気もしなくもないな。
実際にどういうやりとりが中国や当局との間であったのか、因果応報な部分もあるのか、それはちょっとわからないけれどね。