粒沢らぼ。

当ブログでは現役生命科学系の研究者が、気になった論文を紹介したり、考えていることを共有したりしています。可能な限り意識を”低く”がモットー。たまに経済ネタとかも。
書いてる人:粒沢ツナ彦。本業は某バイオベンチャーで研究者をやっています。本名ではないです。
博士号(生命科学系)。時々演劇の脚本家、コント作家、YouTube動画編集者。アンチ竹中エバンジェリスト、ニワカ竹中ヘイゾロジスト。
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一年前に仕事で買った本(粒沢さんにとっては畑違いの金融関係)、当時は書いてあることがよくわからなかったが、最近読み返したら「なるほどこういうことが言いたかったのか!」と腑に落ちることがあった。

いや、別に専門用語が難しいとか数式が難しいとかではなく、平易な日本語で書かれている本なのだけど。

業界の暗黙的な知識や経験値がないと、「言ってることの日本語的な意味はわかるが、ただの一般論を言っているように聞こえる」みたいな状態になってしまい、全く頭に入ってこないのだ。


実務的な視点というのは、実務を知らない人間には、当然ながらなかなか本を読んでもわからない。

文章として言語化することは不可能ではないのだろうが、言語化できたところで伝わらなければ意味がない。


たぶん、本当はきちんと伝わる言語化自体は可能なんだ。

だが、その際に「既存の権力のある人たちの悪口や批判になってはいけない」みたいな制約が入ることが多い。

誰かを批判すれば、自分も批判される。

せっかく大変な思いをして文章を書いたのに、そこに書いたことでいちいち誰かと喧嘩してたら身が持たない。

そのために、一般論的でただしい、いまいち芯を食っていない、きれいごとのような文章ができあがる。

学校の教科書をそのままただ読んでもつまらないのと一緒だ。


このつまらなさを乗り越えるためには、自分で手や頭を使うしかないようだ。(残念ながら、というべきか)

実際に手や頭を動かして、ものを作ったり実践しようとしてみると、「ぜんぜん本に書いてある理念や理論どおりにいかねえじゃん」「この人たちきれいごとばかりいうけどやってることはクソじゃん」みたいなポイントが視えてくる。

そういう前提を内部化したうえで、改めて“そういう目”で本を読んでみると、なるほどそうした“現実”も織り込んだ記述になっていることがわかったりする。

「理想は〇〇であるべき、だけど例外もある」、とかね。

なるほど賢いね。


なんかズルいなぁ…という気持ちがないわけではないが。

それはそれとして、こちらがちゃんと正しい“問い”を持てば、それに対して答えが書いてある本というのはあるし、良い本である。

なにかの情報について具体的な数字が書いてある、とかね。(ゴミ本だと役に立つ情報が一切ないこともあるけどな)

そういう本は手元において大切にしなくてはならない。

こちらのレベルが低いうちは、情報は書いてあっても受け取れないだけなのだ。


今回読んでいる本も、またこちらのレベルが上がれば、新たにアンロックされる情報も増えるのだろう。

そうなるといいな。


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すみっコぐらしの映画を観た。


”すみっコぐらし”とは、部屋の隅っこを「ここが落ち着くんです」と言って集まってくるような、おとなしくて若干ネガティブ寄りのゆるいキャラクター達が登場するタイトルで、グッズが作られたりアニメが作られたりしている。

寒いのが苦手な「しろくま」とか、本当はペンギンじゃない「ぺんぎん?」、脂身が多すぎて食べ残された「とんかつ(の切れ端)」など、アイデンティティが薄弱でありさえすれば生物と死んだ動物の肉が対等な顔をして登場するという、独特の世界観を有する。

子供から大人まで幅広い世代に人気があるらしい。

今回観た映画『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』はシリーズ3作目、だそうだ。


内容はなかなか面白くて、ネタバレは避けるけど、油断して見ていたら不覚にも泣いてしまうなどした。

(粒沢さんはアイデンティティが希薄な存在が健気かつ必死にバリューを出そうとする話に案外弱いところがあります)


それで、その映画のテーマソングがPerfumeによる「すみっこディスコ」である。

サビは「Watching, watching すみっこディスコ」と繰り返すだけの非常にシンプルな歌詞だ。

そもそもシンプルな歌詞が多いPerfumeとはいえ、その中でも1ループが相当に短いのではなかろうか。




だいたい「Watching」とは誰が何を見ているのか。


すみっコぐらしの面々は、基本的に引っ込み思案であり、部屋の真ん中で目立つ資格がないとか考えているタイプのキャラクターが多い(例外もいるが)。

踊って場を盛り上げるのは他の誰かがやっている。

一見すると、いてもいなくてもおんなじ。

そんなごく淡い存在感しか持たない者同士だけど。

それでも「僕たち」はお互いを見ている。

存在していることを確認しあっている。

それだけで、存在する理由としては十分ではないか。


映画のストーリーを見たあとの解釈も含めれば、そんな「存在することに対する赦し」を感じる楽曲に思える。


そういう意味で、「Watching, watching」という歌詞は考えれば考えるほど見事だ。

第一印象こそ「何がWatchingなんだ?」と少々取り残された感じがあったが、実は1種類2単語で、「すみっコぐらし」という作品の本質を射抜いている、のではないだろうか。

実に美しい。そう思います。


おそらく作詞作曲の中田ヤスタカに対して
「中田さんーすみっコぐらしのために一曲作ってくださいよ、チョコレートディスコみたいな感じで、タイトルはすみっコディスコで!www」

みたいなある意味ざっくりした依頼があって作られた曲なのではないかと勝手に想像しているが。

きっかけは雑でも、作品のテーマを完璧に読み解いた上でPerfumeらしさ、中田ヤスタカらしさを加えたスタイリッシュな曲と歌詞を作ってしまう。

さすがプロの仕事、と言わざるを得ない。


見てから一週間ぐらいずっと「Watching, watching すみっこディスコ」が脳内ループしているのである。

中田ヤスタカすごいですね。天才です。


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先週末はインフルエンザで死んでおりました。

いつぶりだろ、十年ぶりくらいかな。


いったいどこからもらってきたのか。

仕事で会合に出たりして、たくさん人と会ってたから正直全然わかんない。


39℃の熱が出て、頭が痛くて何もやる気しないから1日寝てました。

そしたら翌日には熱も下がってくれたので、まあよかった。

ずっとしんどいなー体重いなーって感覚だったのに、寝てる間に急にスゥッと体が楽になったんだよね。

除霊みたいで笑った。

そこからは数日すこし頭痛関節痛が残ってるだけで、ほぼ平熱だった。
割とマシな方だったといえる。 


しかしインフルエンザワクチンはちゃんと効いててえらいな。

自分は打ってなかったんですけど、同居家族で今年インフルエンザワクチン打ってた人はほとんど熱も上がらず最後までピンピンしていた。

そしてべつの打ってない家族には感染していたわ、

やっぱ、どこぞのナントカワクチンと違って、まともなワクチンはちゃんと効果あるんだな。という実感です。

数十年の使用経験という重みがあるからすごいね。

しかも嫌〜な副反応とか死亡例とかもほとんどないしね。

えらいね。


厳密に言うと感染したけど熱が上がんなかったのか、感染しなかったのかはよくわからんけどな。

ワクチン打ってると、感染したのに熱が上がらないこともあるそうなので。

感染してるとすると、結局外出したときにまわりの人にうつしちゃったりはしてるのかもしれないけどね。

検査すればわかるかもしんないけど、さすがにしなかった。

まあいいか。そこまでは面倒見きれんか。


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